2007年3月16日
株式会社沖デジタルイメージング
Siウエハー上に異種薄膜を常温接合する技術「EFB」の実用化
~分子間力で異種材料を接合する技術の実用化~

OKIデジタルイメージング(社長:菊地曠、本社:東京都八王子市)は、『Siウエハー上に異種薄膜を常温接合する技術「EFB」の実用化』を開発し、2007年日経BP技術賞を受賞しました。
薄膜化した材料とそれとは異なる材料を接着剤を使わずに接合する「エピフィルムボンディング(EFB:Epi Film Bonding)技術」を開発し、LED(発光ダイオード)プリントヘッドに応用、実用化しました。今回は、LEDプリントヘッドの光源であるLEDアレイをそれを駆動するドライバICに接合し、LEDアレイとドライバICを一体化する技術を量産化しました。
材料の有効利用と実装の省力化
LEDプリントヘッドでは従来、LEDアレイチップとドライバICチップをプリント配線基板にダイボンドし、LEDアレイチップとドライバICチップ間を高密度なワイヤボンディングで接続していました。そのため、チップ内の接続パッドや配線が占める面積が大きくなっていました。またLEDアレイの高密度化は接続パッド数を増加させ、チップ幅の増加につながっていました。
EFB技術によって、LEDアレイとドライバICを一体化することで、LEDアレイの取れ数(単一基板面積当たり)を従来比5倍に向上し、搭載チップ数を1/2、ワイヤボンディング数を1/5と、「実装の省力化」という大きな効果を実現しました。
プロジェクトの立ち上げ:EFB技術開発に着手
LEDプリントヘッドの高密度化と高性能化、小型化、低コストを同時に実現できる革新技術を開発するため、2002年に『次世代ヘッド開発プロジェクト』を3人で立ち上げました。
プロジェクトの第1の命題は「LEDアレイとドライバICの一体化」でした。
LEDは化合物半導体、ドライバICはシリコン(Si)と、材料が異なるためLEDとICの一体化は非常に困難な課題でした。技術検討を進める中で『EFB技術』に焦点を絞り込みました。基板から半導体層を剥離して異種材料と接合する技術は、既に25年程前から研究されていましたが、我々が知る限り量産に成功した例はありませんでした。しかし、LEDプリントヘッドへの応用には最も適した技術だと確信し、開発に着手しました。
大学との共同研究で基礎実験から開始
我々にとって未踏領域のEFB技術を開発するため、大学(広島大学工学部・ナノデバイス・システム研究センターの横山新教授、名古屋工業大学極微デバイス機能システム研究センターの江川孝志教授)を訪問し、基礎実験から開始しました。この頃にはプロジェクトに若手技術者が1人が加わりました。基礎実験の一部は、文部科学省の「ナノテク支援プロジェクト」の支援を受けて、広島大学ナノデバイス・システム研究センターの施設で行いました。
Si基板上に接合したエピフィルムで発光確認
基礎実験当初は、想像していた以上に苦労の連続でした。「エピフィルム層がうまく剥(は)がれない」、「運良く剥がせたとしても、顕微鏡をのぞくとエピフィルムに大きなクラックが入っている」、「剥がしたエピフィルムを試しに何かに貼り付けようとしても貼りつかない」といった具合でした。
横山教授からの指導を仰ぎながら基礎実験を進めて約半年が経過したころ、Si基板上に接合したエピフィルムの発光を初めて確認することができました。この発光を初めて確認した日、横山教授も深夜まで付き合って下さり、発光の様子を写真撮影しました。この発光確認によって、EFB技術の本格的な開発が始まりました。
新型プリントヘッドでカラー印刷
わずか3人でスタートしたプロジェクトでしたが、毎年新入社員や若手技術者が加わり、プロジェクトメンバーは十数人に増えました。プロジェクトメンバー全員が「不可能を可能に変える」情熱を持ち続け、次々と直面する高い壁を、1つひとつ突き崩していきました。
ついに、プリントヘッド内の5000個のエピフィルムLEDがすべて点灯する試作プリントヘッドが完成し、カラー印刷を確認するところまでたどり着きました。初めてカラー印刷が確認できた時には、関係者全員が喜び、記念写真を撮りました。
EFB技術の量産化
沖デジタルイメージングの技術者、製造関係者全員が一丸となって、EFB技術の量産のために大小さまざまな課題解決にあたり、量産をスタートしました。安定した高い歩留を維持するための新しい技術開発も行われました。現在、LED/IC一体化チップは月産数百万チップ、そのチップを使ったプリントヘッドは月産十数万本のレベルで安定した量産が行われています。
EFB技術の開発から量産に至るまでの過程では、さまざまな場面でいろいろな方々にご指導、ご支援、ご協力をいただきました。あらためて感謝申し上げたいと思います。今後はEFB技術をさらに発展させ、新しい未踏領域を切り拓いていきたいと思っています。
部門賞 電子・情報家電部門
Siウエハー上に異種薄膜を常温接合する技術「EFB」の実用化
- 荻原 光彦 沖デジタルイメージング 開発部 部長
- 藤原 博之 沖デジタルイメージング 開発部 開発チーム 課長
- 小泉 真澄 沖デジタルイメージング 技術第2部 部長
- ※受賞者の所属・肩書きは選考時点のものです。
- ※株式会社沖デジタルイメージングは、通称を「OKIデジタルイメージング」とします。
- ※その他記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
- 本件に関するお客様からのお問い合わせ先
- OKIデジタルイメージング 企画部 電話:027-360-5600